DHC-6あれこれ

※この記事は2013年に書いたものを若干加筆修正したものです。

今や「DHC」で始まる飛行機と言えば、「ボンQ」ことボンバルディア社のDHC-8が有名になっていますが、一昔、いやふた昔くらい前であれば、DHCで始まる飛行機は、DHC-8よりもDHC-6だったんじゃないかと思います。ちなみに日本にDHC-8が初めて登録されたのは、1997年だったと思います。それ以前であれば、日本近距離航空→エアーニッポン→エアー北海道や、南西航空→琉球エアコミューターで活躍したDHC-6の方が有名だったかもしれません。

この機体、一般には「ツインオター」や「ツインオッター」と言う名前で呼ばれているので、その方が通りが良いかもしれません。ちなみに、DHC-6やDHC-8の「DHC」は、De Havilland Canadaの略で、元々は英国の航空機メーカー、デ・ハヴィラント社のカナダ子会社として設立された会社です。
当初は小型のレシプロ機などを生産しており、1951年に初飛行したDHC-3「オッター」が、当時の小型機としては結構なヒットとなり、466機が生産されるに至りました。尤も、大半が軍用機として使用されたようで、民間機として使用されたのは100機ほどでした。
さて、この「オッター」をターボプロップにして双発にした機体として登場したのが、DHC-6「ツインオッター」です。オッターが双発だからツインオッターと言う、非常に単純明快な命名ですが、ダッシュ6とか、DHC-6と言う名称も、結構使われるようです。1965年から製造がはじまり、1988年までに844機が製造される大ヒット機になりました。
当時、デ・ハヴィラント・カナダとしては、オッターと同じく軍用機で売れれば良い、と思っていたようですが、コミューター航空からの問い合わせや発注が多くてびっくりした、と言うことだったようです。

さて、そのツインオッター、何がそんなにコミューター航空に注目されたかと言うと、高いSTOL性能にありました。600mの滑走路で離着陸できる機体で、19人の乗客が運べる、と言うのは、かなりのメリットだったようです。

日本で活躍したツインオッターのうち、私が見る機会があったのは、日本近距離航空からエアーニッポンを経てエアー北海道に移籍した機体だけで、しかも2001年になってからでした。

Air Hokkaido De Havilland Canada DHC-6-300 Twin Otter JA8797 at HKD/RJCH (14 April 2001)

この機体も、2006年に退役し、現在はグランドキャニオン航空に移籍していますが、2013年現在も現役続行中です。元々は1970年に製造されたMSN285の機体で、シンガポール・セレタ空港をベースにするセーバーエアにデリバリー、その後1974年から32年に渡り、日本の空で活躍した機体です。

もちろん日本以外の空でもツインオッターは重宝されていまして、マレーシアでこんな機体にも搭乗しました。

MASwings De Havilland Canada DHC-6-300 Twin Otter 9M-MDM at KUD/WBKT (30 April 2012)

マレーシア・ボルネオ島をベースに飛んでいるMASwings所属のツインオッターです。コタキナバルやクチンをベースに、800m級滑走路の空港を結ぶローカル線で活躍しています。私が乗ったフライトも、サンダカン~クダッ~コタキナバルと飛ぶフライトで、クダッの空港は800m滑走路のツインオッターでないと降りられない&上がれない空港でした。

写真の9M-MDMは、2013年10月10日、クダッの空港で着陸に失敗して周辺の民家と激突。パイロットの方とと乗客の方の2名が犠牲になる事故を起こしてしまいました。事故でお亡くなりになられた方のご冥福をお祈りいたします。

最終的にデ・ハヴィラント・カナダは、カナダの国営企業になった後、ボーイング、そして現在のボンバルディアへと売却されて行きます。ボンバルディアはDHC-8の製造ライセンスと、耐空証明は引き継ぎましたが、ツインオッターを含む、DHC-7までの製造ライセンス、耐空証明は、カナダでデ・ハヴィラント・カナダ製の機体のスペアパーツを作っていたヴァイキングエア社が買い取りました。
そして、ヴァイキングエア社は、DHC-6の新バージョンとして、-400を製造することになり、2008年10月に初フライト、2010年2月にデジタルコックピットとコミューター向けの客室を装備した機体が初飛行を済ませています。
バイキングエアは、この時点ですでに2桁のオーダーを受けていることを発表。現在40機の生産が完了しています。

そして、2013年頃に、ヴァイキングエア社から東南アジア向けのデリバリーフライトが、新千歳でテクランしていました。MASwings向けの機体に加え、私の千歳への遠征時にこんなのが飛来しました。

Vietnam Navy Viking Air DHC-6-400 Twin Otter C-GVAQ at CTS/RJCC (26 October 2013)

ベトナム人民海軍向けのDHC-6-400です。ツインオッターが再度生産され、そのデリバリーフライトが新千歳でテクラン、と言うのも、非常に斬新ですね。この機体、カナダのヴィクトリアを10月19日に出発、カナダを北上してアラスカへ、アンカレッジからロシアのアナディリ、ペトパブロフスク・カムチャツキーを経由して新千歳に飛来しています。
翌日には韓国のチェジュへ。28日に台北へ飛んで行ったところまで確認できていますね。
この機体、製造番号877番で、ベトナムではVN-T777として登録されるようです。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

*