この記事は2005年にフィリピンで搭乗した記録です。
現在はこの機体によるフライトは運航されていないようです。
チェコ共和国には、現在旅客機を製造するメーカーはありません。ところが、かつてこの国がチェコスロバキアと呼ばれていた頃、ソ連の方針により、LET L-410と言う、小型のターボプロップ機を生産していました。19人乗りで、STOL機だったことから、DHC-6ツインオッターのような使われ方をしていたようです。1100機ほど生産されたのですが、旧共産圏の国で使用されることが多く、ソ連でもずいぶんの数が使われたようです。
Aeroflot LET L-410-UVP CCCP-67131 at Samara Smyshlyaevka (14 October 2008)
尤も、初飛行が1969年ですので、現時点ではその3割くらいの機体が現役で飛んでいるに過ぎないのですが、2005年にフィリピンのSEエアで乗る機会がありました。今でこそエアアジアに組み込まれて会社がなくなってしまいましたが、当初はLETを多数運航していました。
SE Air LET L-410-UVP RP-C748 at MPH/RPVE (September 2003)
搭乗したのは、ボラカイ島へのゲートウェイ、カティクランからマニラに向かう路線でした。この路線、2005年当時は、すでにドルニエが投入されておりまして、便数は結構減っていて、しかもドルニエに統合されて欠航、と言うことが多発。予約を何度も変更して、ようやくLETに乗ることができました。
チェックインカウンターで体重を計られて、席が決まります。以前は、日本国内でも、DHC-6やアイランダーの飛んでいた路線ではよく見られた光景です。
搭乗ゲートを通ると、「あの黄色いのに乗ってくれ」と言われました。その向こうに、少し前にカティクランでオーバーラン事故を起こして解体中のインターアイランド航空のYak-40が見えます。
当日の乗客は、私と同行者、それに現地の整備スタッフの3名。有償で乗っているのは私たちだけ、と言うことになります。
SE Air LET410-UVP RP-C2628 at MPH/RPVE (September 2005)
客室はこんな感じで、1-1-1の配置です。エンジンスタートすると、ものすごい騒音が立ちました。どうも、あまり防音は考えられていないようで、まさに「移動手段」といった感じです。ロシアで以前乗ったヤコブレフ40と似たり寄ったりの雰囲気があります。もちろん、与圧されていませんので、高度は低めです。
窓の外はフィリピンの島々がみられます。意外にすきま風が多く、常夏のフィリピンにしても、寒いくらいの客室でした。そして、19人乗りなので、客室乗務員も乗っていませんし、シートベルトサインもありません。早い話、飛んでいる間は席を立つな、と言うことのようです。
マニラまで1時間少しのフライトでしたが、なかなか面白いフライトでした。飛行機が怖い人には、あまりオススメしませんが、飛行機に乗るのが好きな人には、かなりオススメです。
降りる前に機長に聞いたら、コックピットの写真を撮影させてくれました。ちなみに、離陸する前は、エアコンが効かないので、コックピットの窓が全開になってました。
カティクランは晴れていましたが、マニラは土砂降りの雨。空港ターミナルまでは徒歩。当時のマニラの国内線ターミナルでは普通だった話です。