日本の空で活躍した747(その1)

2014年3月で日本国内の旅客便から、B747が姿を消しました。1970年に日本航空が導入して以来、実に44年間。一般の人にも「ジャンボ」と言う呼称は広く浸透していましたし、これほどいろいろな人に愛された飛行機も少ないのではないかと思います。おそらく今後、ここまでのインパクトのある飛行機は、現代の航空業界の情勢を考えると、もう出て来ないのかな、とも思います。

私自身の搭乗履歴を見てみると、やはり2006年あたりからB747の搭乗回数が激減し、ここ数年では「ゼロ」と言う年が大半に。2016年にはイラン籍のB747クラシックにも乗りましたが、やはりジャンボに乗れなくなる日は近づいていることを実感します。
元々ボーイングは、この機体を軍用輸送機として設計、そしてその競争に敗れると、大量輸送時代に入り始めていた民間航空用として転用してしまった訳ですが、当時のボーイングの開発者や経営者は、ここまでの名機に育つことを想像したでしょうか。

本来であれば、過去撮影したすべてのJAナンバーのB747をご紹介、と行きたいところですが、さすがにそれは無理なので、日本の空で活躍したすべてのB747サブタイプをご紹介しておきたいと思います。

Boeing747-100 (8機)
(-146) JA8101/02/03/07/12/15/16/28

Japan Airlines Boeing747-146 JA8116 at NGO/RJNN (5 May 1991)

JALのみの導入。導入初号機を含め8機が活躍した。短距離~中距離マーケット向けの機体で、航続距離的には北米西海岸やホノルル、アンカレジ経由の欧州路線、アジア域内路線などが主な活躍の場だった。

Boeing747-200B (30機)
(-246B) JA8104/05/06/08/09/10/11/13/14/22/25/27/29/30/31/40/41/49/50/54/55/61/62/69
(-281B) JA8174/75/81/82/90
(-2D3B) JA8192

All Nippon Airways Boeing747-281B JA8175 at NRT/RJAA (23 November 2001)

JALとANAが導入。導入時期が長期に及んだため、外観上や内装など、様々な部分で差異が見られた。また、JALの機体は、搭載エンジンのPWのJT9Dのサブタイプで航続距離が変化するため、就航路線も機材によって変化するという状態であった。なかでも特筆すべきはJA8161/62/69の「エグゼクティブエクスプレス(ニューヨーク便専用機)」と、JA8149/50の「アロハエクスプレス」だろうか。JAL国際線の華々しい時期を物語る機体でもあった。
ANAは国際線就航に際してB747-200Bを5機導入。JALと違い、GEのCF6装備機を購入している。不足した機材として、BAの放出したGE装備の機体(元ロイヤルヨルダン→英国カレドニアン→BA/JA8192)を購入している。

BOEING747-SR (24機)
(SR-46) JA8117/18/19/20/21/24/26
(SR-81) JA8133/34/35/36/37/38/39/45/46/47/48/52/53/56/57/58/59

All Nippon Airways Boeing747SR-81 JA8157 at NGO/RJNN (6 May 1992)

JALとANAが導入。1970年代にJALが先行で7機導入した後、ANAは1978年から導入している。JALはPWのJT9D-7A装備でほぼ-100型と同等、ANAはGEのCF6-50装備で、-100Bに近い。日本国内線向けに製造されたいわゆる「特注機材」で、離着陸性能の強化や、離着陸回数が多いので、脚部の強化が行われている。
後年になって、国際線を飛ぶために、ANAの機体で燃料タンクの増設などをした機体も存在し、ロンドン就航前のプルービングフライトで、JA8157がガドウィックに降りた時は、現地の航空ファンが狂喜乱舞した、と言う話も聞いた。
また、日本国籍登録のB747で、唯一墜落事故を起こしたのもこのタイプになる。1985年8月12日にJL123便として運航されていたJA8119が群馬県の御巣鷹山で墜落。乗客・乗員520人が犠牲になっている。

Boeing747-100B/SR (3機)
(-146B/SR) JA8142/43/64

Japan Airlines Boeing747-146B/SR JA8164 at OKA/ROAH (April 2004)

JALが導入した「後期型」の747SR。-100Bをベースに、離着陸性能と脚部強化を行った機体。3機のみ製造された貴重な機体でもある。

Boeing747-100F (0機/1機)
(-146F) JA8107

Japan Airlines Boeing747-146F JA8107 at ITM/RJOO (20 March 1990)

1977年に旅客型から貨物型に改修された。JAレジでの-100Fはこの1機のみで、JAL/JAAの共通事業機として「JA Cargo」のロゴで飛んでいた。1992年退役。

Boeing747-200F (15機)
(-246F) JA8123/32/44/51/71/80/1J
(-221F) JA8160/65
(-281F) JA8167/68/72/88/91/94

Nippon Cargo Airlines Boeing747-281B JA8172 at NRT/RJAA (August 1992)

JALとNCAが導入した全貨物型。JALの機体は、導入時期により装備しているエンジンが違うので、航続距離等に相違が出る。また、JA8160/65は、元パンアメリカン航空の機体で、パンナムで短期間使用された後、JALへとデリバリーになっている。
NCAは当時はANAの関連会社だったこともあり、カスタマーコードがANAでデリバリーされている点も興味深い。
JA8151は、1994年に一度サザンエアにN740SJとして売却された後、1999年にJA8937として再登録されている。YS-11の時と違って、別のレジスタが充てられている点も興味深い(本項ではJA8151のみ記載)。

Boeing747-200B/SF (1機/計7機)
(-212B/SF) JA8193
(-246B/SF) JA8161/69
(-281B/SF) JA8181/82/90
(-2D3B/SF) JA8192

Japan Airlines Boeing747-246B/SF JA8161 at KIX/RJBB (21 August 2004)

後年になって、JAL、ANAの旅客型だったB747が貨物型に改造されて使用された他、元シンガポール航空のB747が1機、JALの貨物機として使用された実績がある。
集計上は-200Bでカウントされた機体が大半なので、集計上は1機(JA8193)とした。

Boeing747SR/SF (0機/1機)
(SR-81/SF) JA8158

Nippon Cargo Airlines Boeing747SR-81F JA8158 at NRT/RJAA (5 July 2002)

ANAの国内線用のSRが貨物機に改造された上、NCAでのオペレーションに使用された。こちらは1機のみの改造となり、かなり貴重な存在でもあった。

(その2に続く)

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