2016年は、2度イランに行く機会がありました。普通はイランに行く、となれば、ドバイ経由のエミレーツ航空や、ドーハ経由のカタール航空、アブダビ経由のエティハド航空あたりを使うことになりますが、航空ファン的には、当時最後の活躍を見せていたイラン航空のB747クラシックに乗ってイランに行きたい、と言う思いが強かったです。
幸い、友人がイラン航空の航空券の発券を代行してくれる、とのことだったので、2度共にイラン航空に乗ることができました。ただし、フライトはクアラルンプール発着で、クアラルンプール出発がお昼頃なので、前泊必須です。まあ、普通にイランに行く人は、わざわざこんな面倒くさいルートは取らないと思います(^^;)。
イラン航空のB747クラシック、当然ですが今時の飛行機と違い、様々なものがついていません。代表的なものとしては、個人用モニタでしょうか。昨今は退役の近づいたB747-400の個人用モニタが古く、「エンターテインメントがショボい」なんて文句が言われたりするご時世ですが、イラン航空のB747クラシックは、エコノミークラスはもちろんビジネスクラスにもそんなものがついていないので、多分文句を言った人がこの飛行機に乗ったら、「モニタもついていないひどい飛行機に乗った」なんて話になってしまいそうです。
私自身は、B747-200Bに2回、B747SPに2回搭乗しまして、前者は元ルフトハンザ、後者はイラン航空生え抜きの機体でした。前者の機体は、ビジネスクラスはイランエアの標準仕様に取り換えられていましたが、エコノミークラスはモケットを張り替えただけで基本はルフトハンザのまま。トイレにドイツ語の表記があったり、シートがレカロ製だったりするところがイラン航空っぽくない感じ。一方後者はすべてペルシャ語表記で、イラン航空に長年使われていることが実感できる機体でした。
イラン航空の客室乗務員の皆さんは航空ファンにはすごく親切かつフレンドリーで、正直個人用モニタなんてあったところで、クルーの皆さんとお話したり、あちこち見学させてもらったりしているうちに、あっという間に7時間ほどのクアラルンプールからテヘラン、テヘランからクアラルンプールのフライトは過ぎてしまいます。
昨今は個人用モニタの充実と共に、こうしたフレンドリーな対応がだんだん少なくなっている気がします。2016年に未だ空を飛んでいたイラン航空のB747クラシックでは、その古き良き時代の空の旅を最後まで満喫させてもらえたように感じます。同時に、こんな空の旅がもう楽しめなくなってしまったことに、一抹の寂しさを覚えます。