JA8157と言うレジを聞いて、「ANAのB747SRのラストフライトを飛んだ機体」と言うことを覚えている方も多いかもしれません。今回は、この機体の軌跡を追ってみたいと思います。
ANAは、1978年からボーイング747SRを本格的に導入を始めておりまして、初号機JA8133が1978年12月にデリバリーされた後、1982年6月にJA8157を受領するまで、全17機のデリバリーを受けています。
当時のANAは、国内線オンリーと言うこともあり、機体の社名は「全日空」としか入っていませんでした。1986年に国際線を運航開始するにあたり、機体に欧文で「All Nippon Airways」とタイトルを入れているのですが、国内線を飛ぶB747SRは、その対象になっていません。ところが、1980年代末期になって、B747SRのうち、JA8136とJA8157の2機に、欧文タイトルが入ります。この2機は、国際線のスタンバイ機材と言う意味合いもあったようで、当初は定期便で国際線を飛ぶことはありませんでしたが、例えばロンドン・ガトウィック空港に就航する前のプルービングフライトで、ガトウィックに飛んで行き、現地のスポッターが「SRが飛んできた!」と大騒ぎした、なんてこともあったようです。
All Nippon Airways Boeing747SR-81 JA8157 at NGO/RJNN (27 August 1992)
さて、そんな「予備機」だったはずのJA8157、ついに国際線で本格的に飛ぶ時代がやってきます。1991年9月に名古屋~ホノルル線に就航。確か全席エコノミーだったと記憶していますので、おそらくコンフィグそのものは国内線仕様の機体だったのではないかと思います。
この機体、週3便だったかのホノルル線を飛び、運航がない日は名古屋から新千歳を往復する運用に入っていたはずで、この写真は、名古屋のRW16から上がっていることを考えると、ホノルルではなく新千歳に向かったのではないかと思います。私が子供の頃、名古屋では滅多に見られなかったジャンボが、日中名古屋~新千歳を飛んでいるのは、非常に斬新な光景だったことを思い出します。
さて、名古屋~ホノルル線も、2001年に廃止になっておりまして、JA8157も国際線機材としての任を解かれ、晩年は国内線機材に戻っておりました。そして、2006年3月にANAのB747SRのラストフライトの機材として運航された後、アメリカで解体され、その生涯を終えています。