飛行機写真を始める~その2 飛行機を止めて撮影する

何回かに分けて、飛行機の写真の撮り方の基本になりそうな話を書いてみようと思います。その2回目、「飛行機を止めて撮影する」です。
意外にアクセスログを見ていると、「飛行機、写真、露出」というキーワードで検索をかけてたどり着かれている方もちらほら見かけます。今日はそのあたりの検索に、少しは参考にしていただけるのかな、とも思います。

私自身アマチュアで、大した写真を撮っている訳ではないのですが、そんな私が見ても、同次元は勘弁して、と思ってしまうクオリティの写真が散見どころか某SNSに至っては埋め尽くされている状態(で、コメントを見ると、すごいですね!と称賛されていたりします(^^;))。天気が悪いとか、撮影機材が違うとか、それ以前の問題が多々あるのかな、と思います。

まず、こういう写真を撮影することを目標にしているのは分かりますが、流れていなくて全部がブレてしまった写真が某SNSでは非常に多い傾向にあります。
ちなみにこの写真、私自身は3回失敗し、都度条件や飛行機の到着時刻などを考え、最後の最後に高感度で低速のシャッタースピードで流して撮影した1枚です。ビデオ雲台をつけた重量数kgの大型三脚に大口径のレンズをつけ、フルサイズセンサーのカメラで撮影、と書いて、書いてある意味がよく分からないという方には、この手の写真を撮る前に学ぶべきことは沢山ある、ということになります。意味が分かった人は、実践していただければ、いつか1枚、2枚と決まってくると思います。もちろん私も打率はせいぜい10%くらい。酷い日は1枚も止まってなかった、なんてこともあります。


シンクロができていても、やはり微妙なズレが生じるので、機体の一部がぶれているショットを量産することにはなってくるのですが、他方でこのショットのように完全にブレてしまったショットになっている時点で、飛行機の動きとカメラのシンクロ自体がまったくできていないと言うことになりそうです。

流し撮りは、被写体がブレていない反面、背景が流れる=ブレる状態のショットで、決まれば本当にきれいな1枚になるのですが、逆に決まらないとただブレているだけのショットになります。シャッターが開いている間に、縦方向のブレを押さえて横にカメラと飛行機の動きをシンクロさせると撮影できるのですが、なかなかそれを飛行機が通過する一瞬に無意識に行うのは、かなり慣れや経験が必要です。上手く行ってない人は、まず「飛行機の動きに合わせてカメラを動かし、飛行機を止める」ことを練習した方が、今後の打率は良くなると思います。

この写真は三脚を使わずに手持ちで撮影していますが、機体を止めて背景は流れています。原画で見るとわずかにブレていますが、このサイズまで縮小すると、あまり分かりません。色の調節が難しい日のショットなので、まだいじればきれいになるかもしれませんが。
と言うことで、今日は流し撮りを始める前にこういう写真を撮って慣れることから始めてみよう、と言うトピックで話を進めていきます。


例えば快晴の日の午後、伊丹空港周辺のスカイランド原田や伊丹スカイパークで、「飛行機の動きに合わせてカメラを動かし、飛行機を止める」ために、カメラのセッティングをしてみます。私の経験から、「上手く行かない」と言っている人はフルオートで撮っていることが多いので、フルオートモードは解除します。キヤノンであれば□やPからTvに、ニコンだとSに変えます。ISO感度はAutoから200に。TvやSモードはシャッタースピードがセットできますので、1/1000にセットします。
おそらく、この条件であれば、晴天条件であればカメラ内の露出計は、絞りを7.1、8、9あたりにしてくると思います。当然ですが曇りや雨の日、朝晩の光量が少ない時間帯は露出がここまで稼げませんし、写真自体がくすんだ感じになってしまいます。よって、「晴れている日の日中」を選ぶことも重要だったりします。

この状態で、被写体となる飛行機が来たところで撮影します。動いている機体を止めるのは難しいので、まずは離陸するために滑走路に向かう機体から始めます。この条件で撮影したのが、上の写真です。おそらくこのショットであれば、コンパクトカメラどころか、上手くやれば携帯のカメラでも撮影できると思います。フィルム時代から一眼レフを使っている人は、たいていこの手のショットをずっと撮り続けているのですが、ある意味カメラを飛行機に向ける際の基本の1枚だと思います。
スカイランド原田であれば、着陸してくる機体も撮影できるので、まったく同じ条件で撮影してみます。

普通の一眼レフであれば、おそらくファインダーを見ながらカメラを機体の動きに合わせて振っていき、ズームリングを調整する、と言う動きが必要になるので、おそらくこの時点で、上の写真と比較すると難易度は格段に上がっていると思います。

こういったショットが撮影できるようになったら、次は離陸機です。伊丹ならスカイパークの北の端あたりが好適かもしれません。ここで書いたカメラのセッティングの条件はこの場所で撮影する場合でも有効ですので、そのまま同じようにファインダーを見ながらカメラを機体の動きに合わせて振っていくと、こんな写真が撮影できるかと思います。

こちらはEOS 5D MarkIVでの撮影。普通の一眼レフの方が撮影しやすいのは間違いありませんが、ミラーレスでもこうしたショットは撮影できますので、例を挙げてみます。


このショットはEOS M5での撮影。もちろん、M5では若干のコツは必要になってくると思いますが、電子ビューファインダー(EVF)を上手に使うことで、こんな感じで追えると思います。
飛行機とカメラの動きをシンクロさせる、ということをまずは覚えて頂くと、流し撮りも含めて打率が上がってくると思います。
ちなみに、高速で動く物体を追う撮影ですので、こういう写真が撮れることもありますが、いずれもNGです。

垂直尾翼、水平尾翼が切れてしまうのは当然NGです。こんなショットを私も撮らない訳ではありませんが、通常現場で消してしまいます。

こちらは頭が切れちゃったパターン。こういうのもダメですね。
ダメな写真を堂々と公開して、「俺はそれで楽しいからいいや」と言う方はそれでいいかもしれませんが、申し訳ありませんが私とは考え方が合わないと思います。
ちなみに上記のNGショットの対策としてはズームを引き気味で撮影し、後でPCで編集する、と言う方法が一番簡単なのですが、フィルム時代には絶対になかった方法でして、最近の私もそうですが、こういう編集ありきで撮影していることが残念ながら増えました。

ちなみに露出は、晴天時でISO200、シャッタスピード1/1000秒、絞り8が目安ですが、画質のクオリティは低感度の方が良いですので、慣れてきたらISO100、シャッタースピード1/500秒、絞り8で撮影すると良いと思います。
曇っている日、雨の日など、条件が変わればこの条件も変わりますので、「シャッタースピードと絞りの関係」について、よく学んでおく必要があると思います。
私はユーザーではないのですが(^_^;)、ニコンのサイトにこんなのがありましたので、ぜひ参考にしてみてください。

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