今回は、全く「青春」ではありませんが、「現在もまだ見ることができる747」「貨物機」と言う今までにない条件での1機のお話をしようと思います。
中国の貨物航空会社として2004年に設立された翡翠航空、Jade Cargo Internationalは、2006年から2007年にかけて、全部で6機の747-400ERFを導入して運航開始しています。ところが4年ほどで運航停止になり、導入された747-400Fについては、ベースにしていた深圳や上海浦東に放置されることになります。
そのうち3機については、運航停止の翌年に欧州やイスラエルの航空会社へと引き取られて行きましたが、残り3機については引取先も決まらず、実に7年もの間、放置され続けました。普通は5年も放置されたら、そのまま解体されていくことが多く、このシリーズでご紹介した他のジャンボの中にも、こうした運命を辿った機体は少なくありません。しかも、この747-400ERFの場合、デリバリーから翡翠航空で運航されたのはわずかに4年。そのままなら「悲運の機体」として解体された可能性も高かった訳です。
ところがこの3機、2018年に急遽1機がイスラエルのCALへ、2機が同じ中国のSF航空へと引き渡されることになり、7年の眠りから目覚めることになったのです。SF航空は、中国の運送大手、順豊エクスプレスの子会社で、親会社は日本で言えばヤマト運輸、世界的に見ればフェデックスやUPSに相当するような宅配大手です。自社の貨物を輸送する目的で2009年に運航を開始し、創業から10年、規模の拡大で大型の輸送機が必要になったことから、上海浦東で長年眠りについていた747に白羽の矢が立った、と言う訳です。
デリバリー後、SF航空のフルカラーをまとった元翡翠航空の747は、中国国内での輸送に使用された後、コロナ禍で増大した国際貨物の輸送機材としても活躍。7年間のブランクを物ともせず、2023年7月現在もSF航空の機材として使用されています。