昆虫大好きな息子のために、庭の山椒についたアゲハチョウの幼虫を回収して育て、羽化させる、という事をやり始めました。と言って、4歳の息子に「大事にしなさい」と言っても何もしないので、結局はをやぢの私が世話をすることになります。
9月末くらいからまめに回収していたら、合計39匹の幼虫を回収するに至りました。これまで放置してきたので、全く気がつきませんでしたが、実際にやってみるとこんなにアゲハの幼虫がついていた、という事になります。
観察してみると、個体ごとで性格のようなものがあり、ちょっと物音がするだけでエサを食べるのを止める個体、音や人間の存在に関係なくエサを食べる個体、飼育容器の蓋を開けただけで臭角を出す個体も居れば、いくら触っても臭角を出さない個体もいて、たかが青虫、されど青虫と言った観察の面白さがありました。
また、終齢幼虫が前蛹になり、さなぎになっていく現場を複数回目撃することもできたので、息子にとってもいろいろと面白い体験になったようでした。
もっとも、自然においておくと大半の幼虫は鳥に捕食されたり、寄生蜂や寄生蝿に寄生されて命を落としてしまうので、だいたい成虫になるのは1%前後とも言われています。1ヶ月ほどで39匹だったので、シーズン中に250匹以上の幼虫が出てきて、そのうち成虫になれるのは2-3匹程度、と言うシビアな環境です。
ところが人間の保護下に置いてしまうと、今度はなかなか死にません。結局39匹のうち、死んだのは2匹だけで、残り37匹は無事に蛹化してさなぎになりました。ところがここで成虫の蝶になれるのも100%ではありません。1匹は羽化の途中で落ちてしまい、羽根が伸びきらないうちに乾いてしまって、結局死んでしまいました。5匹はさなぎが腐ってしまい、もう5匹は寄生蝿に寄生されており、蝶ではなく蛆虫が出てきました。蛆虫は養育する気がないので、命の価値に本来差はないのですが、こちらはそのままゴミ箱に直行してもらうことにしました。
そして9月末からの室内飼育の弊害も。アゲハチョウの幼虫は、日長時間が13時間30分を過ぎると、さなぎのまま冬を越すようになります。ところが室内で飼育すると、蛍光灯の光を太陽光と誤認してしまう個体が出てきてしまい、結果10月末以降に羽化、と言う本来のアゲハチョウの生存サイクルから狂った個体が9匹出てきてしまいました。蝶の成虫は飼育が難しいので、3匹は飛べたのでそのまま野に放ち、飛べない個体は10倍に薄めた蜂蜜を与えて飼育することに。結局6羽のアゲハチョウを最後まで飼育することになりましたが、蝶の成虫の一般的な寿命は2週間程度と言われながら、薄めた蜂蜜で1ヶ月を超えて生存した個体もいました。最後は羽根もボロボロになってしまっていましたが、昼間は網戸とサッシの間で過ごし、夜は飼育ケースの中で光をさえぎっておいたのも良かったのかもしれません。そしてなぜか10月末以降に羽化した個体は、大半が雌というのも、何かあるのかもしれません。
そして現在、17匹分のさなぎが冬ごもりをしています。
来春にこれらのさなぎが蝶になるのか、引き続き観察したいと思っています。