ロシアのイメージ

ロシアのイメージ

私が行ったことがある国で、「おすすめの国」を聞かれることがある。まあ、皆さんの期待は「アメリカ」とか「オーストラリア」とかなのだろうが、私自身の回答は「ロシア」や「イラン」なので、正直びっくりされることが多い。

もちろん海外にあまり行ったことがない方向けであれば、香港とかハワイとかニューヨークとかロンドンとか答えるのだが、それなりに行ったことがある人向けだと、ロシア、ドイツ、イランあたりを推している。
ドイツとイランは別の機会に話を書くとして、今回はロシアについての話を書いてみたい。

おそらく一般にロシアのイメージ=暗い、寒い、怖いではなかろうか。この中で、おそらく「寒い」は事実なので置いておくとして、「暗い」と「怖い」は、ソビエト時代の名残なのかな、とも思う。

何も意識せずにモスクワ行きの飛行機に日本から乗り、モスクワの空港に着いてみると、おそらくその空港の明るさに驚くかもしれない。ソ連崩壊から数年後のモスクワの空港は、薄暗く、汚く、とても一国の首都の空港とは思えなかったのだが、10年ほど前に再訪すると、新しい建物に建て替えられており、明るくきれいなターミナルビルになっていた。
モスクワの地下鉄もソ連崩壊直後に行ったときは、切符の買い方すらよく分からず、ロシア語表記のみで全然分からなかったのだが、10年ほど前の再訪では、普通に切符を買うことができ、ICチップの入った乗車券で改札をICで通るようになっていた。やはりこちらもソ連崩壊直後は薄暗かったが、10年前には暗さを感じなかった。
モスクワの街を歩いても、やはりソ連崩壊直後と10年前ではずいぶんと雰囲気が違っており、現代のモスクワにおいて、私は暗さを全く感じなかった。サンクトペテルブルグに至っては、他のヨーロッパの街と雰囲気は変わらないほどだ。

もう一つ、「怖い」だが、確かに日本の常識では計り知れないことが発生するのは事実かもしれない。ただ、強面の大統領が発する強い言葉と、時折ニュースになる軍事的な話は、ロシアを普通に旅行者として旅をする限りは無縁であろう。モスクワの街を歩いていて、いきなり逮捕される、拘束される、ということはまずない。ソ連時代であっても、軍事基地で撮影しているとかでなければ、逮捕、拘束にはならなかったので、そのあたりはスターリン時代のソ連のイメージではなかろうか。
ロシアでは日本では想像できないトラブルが発生することはある。そもそもの文化も違えば、習慣も違うのだから仕方がないのだが、トラブルが発生したと言って、自分の身に危険が及ぶケースはほとんどない。少し嫌な思いはするかもしれないが、そのうち慣れてしまうと、「ロシアだから仕方がない」となってくる。
また、テレビに映る大統領の顔を見て、ロシア人は笑わない、怖い、というイメージがついているのだが、これも文化の違いであろう。ロシア人は微笑みを誰にでも向けるのは、頭の悪い人間のすることだ、と思っている。つまり、日本の感覚でニコニコしていたら、「こいつはアホじゃないのか」と思われてしまうのだ。
笑わないからと言って、ロシア人が怖い訳ではない。むしろトラブルが発生した時に、ロシア人たちは親身になって助けてくれることが多い。困っていて話しかけられるケースも多く、正直大統領の強面の印象はそこで薄れてしまう。
唯一困ること、と言えば、日本語でもなく英語でもなくロシア語で話しかけられること。まあ、こればかりはヨーロッパや一部の東南アジア以外では稀で、だいたい現地語であることが多い。

世界一の国土面積の割に、人口は日本より少し多いくらい。人口密度などを考えれば、私たちのような島国で生活している人々との感覚は相違してしまうのは仕方がないのだが、少なくともアンチの方々が思っているほど、ロシアは悪い国ではない。その証拠に、私が「ロシア良いよ」と言って実際に行った方は、ほぼ100%が「良かった、また行きたい」と言って帰ってきている。アンチの方にこそ、ロシアに1週間くらい滞在してもらいたいものだと思う。

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