私が幼少期、それこそ今から40年くらい前、テレビで放映されていたのが今日のタイトルのアニメ。今でもキャラクターグッズが売られていて、LINEのスタンプなんかもあったりします。ところが、実際にこの作品がつくられた時期というのは、何と第二次世界大戦よりも前で、調べてみたところ、最初の作品「上には上がある」は1940年2月とのことなので、何と80年も前の作品、ということになります。
このアニメ、BGMにクラシックやジャズがちりばめられているので、結構これで聞いたことある曲が別の場所で流れてきたりします。中高生の頃はけだるいだけだった音楽の時間の「名曲鑑賞」に、トムとジェリーのBGMが1曲流れてくれば、その曲を聞く気になるのですから、どれだけ刷り込まれていたか、何となくわかります。
当時テレビで放映されていたものは、大半が1940年代、1950年代に作られた作品で、この後雰囲気のかなり違うバージョンが1960年代、70年代に制作されているようですが、やはり私たちの幼少期はこの古いバージョンで、トムとジェリーにセリフがあった物をよく見ていました。
それから40年以上あと。2歳の息子にYouTubeで見せていたところ、どうも本人ははまってしまったらしく、そのうち「トムとジェリーみるー」と言い出すように。最近は100円ショップのアイテムとしても売られているので、100円で売られている物を一通り購入し、息子に見せてみると、そのうちお気に入り作品ができてくるようになります。大人になった私も一緒に見ていると、かつての放送では見ていなかった、あるいはみたけど印象に残らなかった作品も出てくることがありました。
Mouse in Manhattanという、ジェリーがニューヨークに行く話がこれに該当します。制作は1945年ですから75年前ですが、ニューヨークという世界中の人を魅了する街が、当時もやはり華やかな街として描かれていて、グランドセントラル駅やエンパイヤステートビルなど、ニューヨークの名所がちりばめられているのに加え、Manhattan Serenadeのメロディーに乗ってストーリーが進みますので、コロナ禍で行くことができないニューヨークへの思いを馳せることができる作品です。
クラシック音楽関係の作品では「ピアノ・コンサート(47年)」や「ワルツの王様(53年)」なんかも、クラシック音楽をBGMにしている点では印象に残ります。逆に小学生くらいで、この作品に出てくるような曲は聞きませんから、刷り込み教育されていたことを実感する作品でもあります。
2歳の息子のお気に入りは「台所戦争(49年)」、「ジェリーとジャンボ(53年)」「パーティーあらし(52年)」「ショックで直せ(51年)」あたりで、何度も何度も「これみるの」とリクエストされます。
子供はもちろん、大人が見ても楽しめる-80年経っても色あせない名作とは、こういう作品のことを言うのかな、とも思いました。